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CRMは本当に必要ですか

2026.08.17 確認 ・ SaaS COMPASS

結論から書きます。同じ顧客リストを触る人が1〜2人で、更新が多くても1日1回なら、顧客が数千件あってもスプレッドシートで足ります。CRM(顧客関係管理ソフト。顧客と商談の履歴を1か所に集めて共有する道具です)が必要になる引き金は顧客数ではなく、同じ表を同時に触る人の数のほうだと考えたほうがよさそうです。

どこまでならスプレッドシートで足りますか

次の表は公式ソースではなく、事故の起き方から逆算した目安です。

軸(※公式データではなく、編集部が事故の起き方から逆算した目安)足りている危ういゾーンCRMを検討するこの線の読み方
顧客・連絡先の数〜1,000件1,000〜5,000件5,000件超件数そのものは限界になりません。限界は「重複を目視で潰せなくなる」点です
同時進行の商談数〜30件30〜80件80件超基準は1画面で全部見えるか。スクロールしないと全体が見えなくなった時点で、追いかけ漏れは時間の問題です
顧客リストを触る人1〜2人3〜5人6人以上ここが本丸。3人目から「誰がいつ何を書き換えたか」を記憶で追えなくなります
更新の頻度週1回まとめて1日1回1日に何度も週1更新なら同時編集はほぼ起きません。日に何度も開くなら、上書き事故は起きる前提で設計する必要があります

1つ右に振れただけで買う必要はありません。危ないのは組み合わせで、「触る人が3人以上」と「1日に何度も更新」が重なったときだけ、顧客200件でも壊れます。

スプレッドシートが壊れる瞬間

壊れ方は次の4つです。二人が同じ行を同時に直し、後から保存したほうだけが残る上書き。担当者の退職で個人ドライブの表ごと行方不明になること。「顧客リスト_最新_修正版」が並び、どれが生きているか誰も断言できない状態。表計算の履歴は「セルが変わった」ことしか残さず、「なぜ値引きしたか」は残らないこと。

無料でどこまで試せますか

HubSpot・monday.com・Asana の無料枠を横に並べた比較は「無料プランはどこで止まりますか」にあります。HubSpot の無料版は、上の「足りているゾーン」とほぼ同じサイズです。表にある商談パイプラインとは、見込み→提案→見積→受注と商談が進む道筋を1本の流れで並べた画面です。新規開拓用と既存顧客用に分けたいとき、本数を増やします。

項目無料版の上限この数字の読み方
ユーザー数2人(原文:up to two free users)3人目を入れた時点で有料へ。上の表の分岐点と一致します
連絡先1,000件(原文:Up to 1,000 contacts in free accounts)名刺1,000枚。数年分の商談履歴がある会社は最初から超えます
商談パイプライン1本(原文:1 deal pipeline per account)新規と既存を別々の流れで管理したい場合、無料では並べられません
カスタムプロパティ合計10個(原文:10 custom properties in total)「契約更新月」「導入経路」などの自社独自項目。連絡先・会社・取引の合計で10個です
料金$0・期限なし(原文:100% free, with no expiration date)上限の範囲で使う限り、費用は発生しません

出典:HubSpot 製品・サービスカタログ(2026年8月確認)

1,000件を超えたときにどうなるか(追加できなくなるのか、課金されるのか)は、公式に記載を確認できませんでした。近づいている会社は、超える前に公式サポートへ確認してください。

契約時に、実際いくら出ていきますか

HubSpot の Starter Customer Platform は定価が1席あたり月$20です。公式ページには新規顧客向けの割引があり、年払は月$7(1年分を契約時に前払い=$7×12=年$84)、月払は月$10で年間契約なしです(原文:New customers only. Offer available for a limited time.)。割引が続く期間と更新時の価格は記載を確認できないため、定価の $20×12=年$240 に戻る前提で見積もるのが安全です。

monday CRM に無料プランはなく、14日間のトライアル(原文:Get full access. No credit card required.)と3席からの購入だけです。Basic の年払は $12×3席×12か月=年$432 を契約時に一括で前払い(米ドル・税別)、月払は $18×3席=月$54 で前払いなしです。席はグループ単位でしか買えず、4人目で年$720($12×5席×12か月)、3席の1.67倍(720÷432=1.666…)へ跳ねます。

跳ねるのは人が増えた段:monday CRM Basic の席数と年額(年払・米ドル・税別。原文:Prices do not include tax.)

$4323席$7205席$144010席柱は年額(米ドル・税別)、軸の下は購入する席数

計算式は $12×席数×12か月。席は1人単位ではなくグループ単位で、最低3席、4人なら5席(原文:If you have a team of 4 for instance, you may choose the 5 seat option.)。1ドル150円なら3席分は約6万5,000円(432×150=64,800円)が契約時に一度に出ていきます。参考:HubSpot Starter を新規割引・年払・1席で始めた場合は年$84=約1万3,000円(84×150=12,600円)。請求は米ドル建てで、為替は変動します。出典:monday CRM 料金ページ、monday.com サポート、HubSpot Starter 料金ページ(2026年8月確認)

移行にどれだけ手間がかかりますか

エクスポート(今の表をCSVなどのファイルとして書き出すこと)も取り込みも数分で終わり、詰まるのは列です。monday CRM のヘルプにある条件は10MB以下・50列未満・8,000行未満なので、50列を超える表は先に不要列を削り、書式と表記ゆれの掃除に半日から1日を見てください。

CRMを入れても解決しないこと

入力されないデータは、どんなCRMでも可視化されません。商談ステージ(パイプライン上での商談の現在地)を動かさない営業が1人いると、その担当分は空白になり、「商談がない」と表示されるので、レポートはむしろ嘘をつきます。

更新されない原因が「入力が面倒」ならツールで改善できますが、「入力する義務が決まっていない」ならCRMでも同じ状態が再現され、月額を払って空の画面を眺めることになります。

スプレッドシート継続かCRM導入か

引き金は顧客数ではなく、同じ表を同時に触る人の数:スプレッドシート継続かCRM導入かの判定

Q1: 顧客リストを更新する人は3人以上ですか
はいQ2へ
いいえQ2へ(1〜2人なら、Q2がはいでも当面はスプレッドシートで足ります)
Q2: 1日に何度も更新しますか(3人以上 かつ 1日に何度も、が重なったときだけ壊れます)
両方はいQ3へ
片方だけスプレッドシート継続。顧客が数千件あっても壊れません
Q3: 商談の入力ルール(誰が・いつ・何を書くか)が文書で決まっていますか
いいえ先にルールを決める。決まるまでCRMを買っても空欄が並ぶだけです
はいQ4へ
Q4: 連絡先1,000件以下・触る人2人以下・パイプライン1本で足りますか
はいHubSpot 無料版($0、期限なし)。ここで足りるなら払う必要はありません
いいえQ5へ
Q5: 足りなくなった理由は「人が3人以上」ですか、「件数・パイプライン」ですか
人が3人以上monday CRM Basic(3席から。年払 $12×3席×12か月=$432 を契約時に前払い/月払 $18×3席=月$54。いずれも税別)
件数・パイプラインHubSpot Starter Customer Platform(1席あたり新規割引・年払 $7×12=年$84 を前払い/月払 $10・前払いなし。定価は月$20=年$240。最低席数の明記は確認できませんでした)
Q6: 年額を契約時に一括で払えますか
はい年払(HubSpot 年$84 / monday 年$432)
いいえ月払(HubSpot 月$10 / monday 月$54)。割高になりますが、前払いは発生しません

通貨は米ドル。monday は税別(原文:Prices do not include tax. The price is determined by the user's billing country.)、HubSpot の税の扱いは記載を確認できませんでした。出典:HubSpot Starter Customer Platform 料金ページ、HubSpot 料金ページ、monday CRM 料金ページ、monday.com 料金ページ(いずれも2026年8月確認)

買わなくていい読者

名指しします。顧客1,000件以下・商談30件以下・触る人1〜2人・更新は週1回程度の事業者は、CRMを入れても減る作業がほとんどなく、入力先が増えるだけです。一人で営業しているなら、相手は表ではなく自分の記憶なので、まず1枚に書き出すほうが効きます。「営業が入力してくれない」が今の悩みなら、原因はツールではありません。取引先に言われて検討し始めただけなら、無料版を半年使ってから決めれば足ります。

迷ったら、この順番で試してください

まず HubSpot 無料版に今の表をCSVで取り込んでみてください。$0で期限がなく、失敗しても失うのは掃除にかけた半日だけです。「2人では回らない」と分かったら monday CRM(3席・年$432から)、「件数とパイプラインが足りない」と分かったら HubSpot Starter(新規割引の年払で年$84から)です。どちらも足りているのに窮屈なら、原因はツールではなく入力ルールのほうです。

出典(すべて2026年8月確認)

公式に記載を確認できなかった項目:HubSpot Starter の割引適用期間と更新時の価格、HubSpot の連絡先1,000件超過時の挙動、HubSpot Starter の最低席数、HubSpot 側の価格が税別か税込か、HubSpot の選択肢(ドロップダウン)数の上限、monday CRM 側のシート枚数の制約、monday CRM インポートの日付書式とステータス選択肢数の上限(monday.com のボードへのインポートについては、ISO形式(例:2021-10-23)、ステータスのラベルが40種を超えると失敗、と別途記載があります)。

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